これまで扶養控除(配偶者控除)があるために働くことをセーブしていた女性の社会進出を促進するために、2017年1月から廃止される動きが出ています。その代わりとして、共働きの子育て世帯を意識した所得控除として「夫婦控除」の導入を政府が検討していますが、その具体的な内容や動向は不透明な部分が多いようです。
しかしながら税金対策はどの家庭も切実なはず。現時点で何かできる対策などはないのでしょうか。
■「夫婦控除」は扶養控除の廃止後の新制度
「夫婦控除」は、共働き夫婦が対象となるものとのこと。専業主婦と共働き主婦との不公平感をなくす目的もあるこの制度。配偶者の年収額に関係なく夫婦の所得から一定額の所得控除が受けられるというもの。つまり、配偶者がフルタイムで働いても一律に控除が適用されるのが「夫婦控除」の制度。実際の控除額はまだ未発表ですが、これまで夫の扶養控除の壁であった「103万円の壁」はなくなることになります。
■扶養控除と夫婦控除の違いって?
現行の扶養控除(配偶者控除)は夫の年間所得に対する控除であり、
配偶者(妻)などの年収が103万円を超えると配偶者控除の対象外(103万円の壁)となる仕組みでした。
新制度で検討されている夫婦控除は夫婦の年間所得に対して一律に計算されるものとなります。
今まで扶養控除を意識して「扶養の範囲内」で働いていた妻の年収も、夫婦控除が施行されれば夫婦の所得として税金控除の対象になるのがこの制度。
夫婦控除が施行され「103万円の壁」を気にせず働けるようになったとしても、これまでのもう一つの壁と言われてきた「130万円の壁」はどうなるのでしょう。
この壁は、社会保険や厚生年金の支払いが発生することで年収150万円まで実質の手取り額が下がってしますという壁でした。
130万円の壁も扶養控除の廃止にともなって、夫婦控除を含めた見直しや改正される可能性がありそうです。
■夫婦控除が施行されるかは未定だが、扶養控除が廃止された後の働き方を考えよう
扶養控除(配偶者控除)の廃止は毎年のように検討されているのでその流れで動いていることは間違いなさそうです。
廃止されたら「103万円の壁」はなくなるけれど、「130万円の壁」はどうなるかわからないとすると、130~150万円までの手取り額の減少は今まで通りということになるかも知れません。
それならば、いっそのこと150万円以上の年収を得る働き方も視野に入れるのもアリではないでしょうか。
ここで一つ念頭におきたいのが、子育てで子どもに手がかかるのは数年間だけ、ということです。
妊娠出産を機に家庭に専業主婦となり、家計のためにパートに出るようになった方も多いと思います。
今や長寿社会。子育てが終わった後の自分自身の人生はまだまだあります。
扶養控除廃止の機会に、もう一度自分の夢を見つめなおし、この先の人生をイキイキと過ごしていくことを考えるのも素敵なことではないでしょうか。