連載・不倫小説【不倫の掟】 第一章『不倫のざわめき』Vol1‐3
不倫小説【不倫の掟】Vol1‐3。第一章『不倫のざわめき』の第3話。
主婦・真由子の不倫恋愛を描くamo独占オリジナル小説です。
あらすじ【主婦・真由子のただひとつの生きがいは、愛する男・正木友哉と会うことだった。ある日ふいに「距離を置こう」と言われた真由子は……。
苦しく辛い日々の中、真由子の選んだ不倫の結末は?】
■連載・不倫小説【不倫の掟】 のこれまでのあらすじ
主婦・桜田真由子の不倫相手は正木友哉。
友哉に会うことが生きがいだが、会いたいだけでは成立しない不倫恋愛。
二人の間には、バレないための不倫のルールがある。
二人で決めた「不倫の掟」
ときにその掟は、二人の不倫恋愛の邪魔となる……。
夜中に届いた正木友哉からのメッセージには、衝撃の言葉が!
連載・不倫小説【不倫の掟】 Vol.1-1
https://amo.town/furinnookite-1-syosetsu
連載・不倫小説【不倫の掟】 Vol.1-2
https://amo.town/furinnookite-sotry2
■連載・不倫小説【不倫の掟】 第1章『不倫のざわめき』Vol1‐3
連載・不倫小説【不倫の掟】 第1章の3話
Vol1‐3 止まらぬメール
友哉との連絡はチャットアプリを通してが多い。ラインの友達登録はしていない。
連絡手段は電話かチャット、時折、メール。それで十分に用は足りる。
電話は5分、無駄な話はしない。
互いのスケジュールを調整しつつ会える時間を決める。それも簡潔に。
約束の日は再確認。OKかNOかだけ。
それが二人のルール。
でも、それは最初だけだった。
付き合ううちに、電話で話すと5分では足りず、電話を切ることがひどく寂しく感じるようになった。会いたい気持ちを優先するようになり、友哉の都合に合わせて行動するようになった。
私はどんどん不倫という沼に入り込み、抜け出せなくなっていた。
友哉からのメッセージは、メールで届いていた。
メールは久しぶりで“なんで今頃メール?”と不思議に感じていた。
内容を見るまでは……。
ネットショップ関係のメールがズラリと並ぶ中、友哉からのメッセージを開く。
短いメッセージは、開くとすぐに解読できる内容だった。
<しばらく距離を置こう。会える時はこちらから連絡する>
会える時はこちらから連絡する、というのはよかあることだった。2~3日待てば、大抵、連絡はあった。
最長で1週間、それ以上、待たされたことはない。
でも、今回は違う。
こちらから連絡する、というのは、もう連絡しない、ということのように感じられる。
しばらく距離を置こう、ということが、すべてを物語っているように思えたからだ。
どうして?なんで?
それでも、また会えるかもしれない、かすかな望みはあると言い聞かせる。
電話をしてくても電話はできない時間。
おそらく、友哉は家にいて、小娘みたいな妻といるはずだ。
それでも、黙ってはいられず、チャットをしてみる。返事はない。
電話をしたくなる、おそらくは出ないだろう。
会いたいのに会いたいとも言えず、一方的なメッセージでなにもかもを飲み込めるほど、感情を整理することは不可能。
どうかしたいのに、どうにもならない……。
うるさいテレビのボリュームをあげる。
その音が私の感情を抑えてくれると思ったけれど、どんなにボリュームをあげても、私には何も聞こえない。
シンとした心は、闇に落ちる。
「うるさいな」
その時、リビングに入ってきた海がテレビのリモコンを手にしていた。
帰って来たことに気づかなかった。
「おかえり」
の声がかすれた。
「ボリューム、でかすぎ」
海はそういうと、音量を下げ、冷蔵庫を開ける。
そこに、結花も帰ってきた。
一気にリビングは賑やかになる。
「チキンカツあるよ」
ラインで送った言葉を声にする。
「いらないって」海もラインの返事を声にする。
「こんな時間に食べたら太るよ」
結花は、そういいながらチョコレートを口にする。
「そっちの方が太る」
という海に結花は
「これは別」とまたチョコレートを食べる。
「なら、お母さんは寝るから」
二人をリビングに残し、寝室に行く。
今日は夫の帰りを待たないで寝てしまおう。
何も考えずに寝てしまおう。
そう思うのに、スマホを離せない。
友哉がメールで伝えてきたことには意味がある。
なぜなら、メールは「重大なことだけ」と決めていたから。
二人で決めたルール。
そのくせ、こんな重大なことをメールで片付けるなんて、と腹が立つ。
私は勝手だと思う。それでも、気持ちを抑えられない。
<会って話したい>
メールを送信。
これは、とても重大なこと。だから、メールにした。
それを正当化しようと、私は、何度もメールをし続ける……。
10通送ったところで、夫が帰宅した。
「なんで、帰ってきたの」という思いが舌打ちになった……。
<続く>
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